高齢犬の徘徊、寝たきり…飼い主さまを支える介護サービスとは?

相模原どうぶつ医療センター(神奈川県相模原市)では、犬のデイケアサービス(日中のお預かり)を提供しています。サービスの内容や利用するメリットについて、担当の三浦真衣と、デイケア利用者・利用検討中の飼い主さまに話を聞きました。

三浦真衣

トリマー学校を卒業後、動物病院、オリエンタルランド株式会社を経てイオンペットのリテール事業で10年間物販サービスに従事した。愛玩動物飼養管理士2級と動物取扱責任者、動物介護士の資格を保有。現在はペットロスカウンセラー資格に関心がある。かつてシーズー2頭と暮らしていた。

■ 特長は「獣医療施設内にあること」

——  動物の介護が必要になるのは、どんなときでしょうか。 

犬や猫も年をとると身体機能や認知機能が低下し、様々な行動に支障をきたしてしまいます。加齢によって起きる状態はその子によって異なりますが、日中に一人でお留守番させることが難しくなる場合もあります。

  • 生活リズムが乱れ、夜中に動き回ったり吠えたりする
  • 家の中でウロウロと動き回り(徘徊)、狭い隙間に入り込んでしまう
  • ご飯が自力で食べられない
  • シートの上で排泄しないなど、トイレが上手に出来なくなる
  • 寝たきりになる

動物も大切な家族とはいえ、毎日介護をするのは飼い主さまに負担があります。また、どこにでも動物を連れて外出できるわけでもありません。そんなときに思い出していただきたいのが、相模原どうぶつ医療センター(以下、当センター)内のデイケアです。

——  デイケアサービスの概要を教えてください。 

私(三浦)が中心になってデイケアサービスをしています。動物看護師のサポートを受け、1日あたり1~3頭をお預かりすることが多いです。なお、現在お預かりできるのはワンちゃんのみです。

——  センターのデイケアには、どんな特長があるのでしょうか。 

担当のスタッフを、動物看護師がサポートしており、異変があればすぐに獣医師が診察できるのは、動物病院内で提供するデイケアならではの利点だと思います。体調が万全でないワンちゃんの飼い主さまにも、安心して愛犬を預けていただけるのではないでしょうか。

特に治療や健康診断で当センターをご利用いただいている場合、持病などの情報も念頭に置いて様子を見ています。実際、当センター内のデイケアをご利用いただいている方は、獣医療施設内のサービスとして定期的に利用してくださっている方がほとんどですね。

——  ワンちゃんたちはどんな過ごし方をするのですか? 

その子の体調や飼い主さまのお悩みに合わせて、過ごし方を工夫しています。身動きが不自由な子の介助をするのはもちろん、ある程度体力がある場合は体を動かしたり、頭を使うおもちゃ(知育トイ)での遊びに取り組んだりしています。

知育トイで遊んでいるワンちゃんの様子

また、ワンちゃんの体内時計の乱れにお困りの場合は、生活リズムを整えるための日光浴や適度な運動などに取り組むことも可能です。お預かりする前に、お悩みや困りごとはなんでも話していただければと思います。

■ ご利用者・ご利用検討者(飼い主さま)の声

ここからは実際にデイケアを利用されている方と、利用を検討中の方に、ワンちゃんの介護についての悩みや、デイケアの利用を決めた理由などについて伺います。

——  まず、それぞれのおうちのワンちゃんについて教えてください。 

川野さま ラブラドールレトリバーの「クー」です。年齢は12才で、性格は臆病で甘えん坊。子犬の頃はやんちゃな性格に手を焼きましたが、年を取ってお互いに分かり合うことが増えたように感じられて、最近はますますかわいく思えています。

川野さまとクーちゃん(12歳)

杉井さま 我が家の「フィノ」はイングリッシュコッカースパニエルという珍しい犬種で、ブリーダーさんから運よくお迎えすることが出来ました。年齢は8才。この病院が大好きで、外出先ではいい子にしているお利口さんなのですが家ではちょっとワガママな、内弁慶かも。

杉井さまとフィノちゃん(8歳)

木村さま シェットランドシープドッグの「すばる」13才です。同じ犬種で年下の女の子「まいあ」と暮らしているのですが、一緒に遊んだり、彼女がいたずらをすると叱ったりしてくれる、真面目なお兄ちゃん気質です。

木村さまと愛犬のすばるくん(13歳)、まいあちゃん(9歳)

——  なぜ介護サービスを利用しようと考えたのですか? 

川野さま クーちゃんに「肥満細胞腫」という腫瘍が見つかり、昨年7月に手術を受けました。その際、手術前後の通院と私の母の体調不良が重なって、心身にかなりの負担を感じました。クーちゃんの介護が必要になったとき、外出先に連れて行けない場合に備える必要があると思い、利用の予約をしました。

杉井さま 私は前に飼っていた大型犬の介護で苦労した経験があります。体重が30キロ以上ある子がほとんど寝たきりになってしまったので、食事やトイレのお世話をするのも大変でした。そこで「フィノが高齢になったときは、少しでも介護の負担を軽減したい」と考えていたところ、かかりつけのセンター内にデイケアサービスがあると知り、ぜひ利用したいと思いました。

木村さま 「トイレが上手にできない」「耳が少し遠くなった」など、すばるの加齢が起きてきたことに気づき、利用を始めました。スタッフさんとの触れ合いを通じて、認知機能の低下が緩やかになることを期待しています。

——  センターのデイケアを選ばれた理由は? 

川野さま 手術を受けたばかりだったうちの子も、こちらなら体調の変化がないか獣医療者の目線で見守っていただけるから安心できると思いました。

三浦 クーちゃんが受けた手術の内容や予後については、担当の獣医師としっかり情報共有しています。何らかの疾患があるワンちゃんをお預かりする場合は特に気を付けて様子を見ていますし、異変があればすぐに獣医師に相談します。

杉井さま 前の子を飼っていたときからセンターを利用しているので、知り合いのスタッフさんが多く、安心感があるので利用を決めました。フィノはまだ本格的な介護が必要な状態ではありませんが、慣れておくためにも、少しずつ預けていきたいです。

三浦 当センターのデイケアでは、様々な状態のワンちゃんをお預かりしています。定期的にお預かりしている子の中には、食事を口元に運ばないと食べられない子もいますが、もちろん健康な子もお預けいただけます。

木村さま ペットシッターなどを利用することもあるのですが「様々な場所に預けることで、いつどこに預けられても不安になりにくいのでは」と考えています。ここではすばるが知育トイで遊んだり、スタッフさんやよその家の子と交流したりして、家とは違うことを体験できるのがうれしいです。

三浦 すばるくんは知育トイが大好きで、自分から楽しんで取り組んでくれています。デイケア用のLINEアカウントに友だち登録していただくと、異変があったときにすぐご連絡できますし、お預かり中の様子を写真でお送りできますよ。

——  今後のデイケアに期待されることはありますか? 

杉井さま 前の大型犬の子の介護をしているときは、病院への送り迎えをするのも大変だったので、送迎をしてもらえるとうれしいです。

川野さま 介護用品の貸し出しをしてもらえたらいいですよね。犬を乗せるためのカートなどは高額で場所を取るものも多いですから「必要なもの全てを購入するのは難しいな」と感じています。

三浦 なるほど、貴重なご意見をありがとうございます。いまはまだサービスの規模が小さいので、すぐお応えするのは難しいのですが、ご利用いただく方がもっと多くなった時には実現できるよう、検討していきたいです。

木村さま 周囲の飼い主さんと話していると、犬の介護について悩んでいる方は多いと感じていてもっと沢山の人が利用されるといいなと思います。

三浦 当センターのデイケアは、動物と長い期間を過ごした飼い主さまの助けになれるような場所でありたいと考えています。同様のサービスを提供している他の事業者さんにも学びつつ、より多くの方に活用していただけるよう、出来ることの幅を広げていきたいです。

——  ありがとうございました。 

■ まずはお気軽にお問い合わせください

「デイケアサービスを利用してみたい」「興味がある」という飼い主さまは、診療の際に担当の獣医師にご相談いただくか、当センターにお電話でお問い合わせください。

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