相模原どうぶつ医療センターBlog

相模原どうぶつ医療センター診療科紹介【総合診療科内科編】「不調の原因をいち早く見極め、適切な治療を」

一般的な動物病院では検査や治療が難しい症例に対応するため、「総合診療科」「運動器科」「夜間救急科」「眼科」の4科からなる「診療支援部門」という組織を設けている相模原どうぶつ医療センター。今回は総合診療科の内科領域について、担当する獣医師・瀬川和仁が紹介します。

瀬川和仁 獣医師

2014年麻布大学大学院博士課程修了。同大学付属動物病院特任教員などを経て相模原どうぶつ医療センターへ。血液・消化器疾患を中心に、幅広く内科診療を担当している。「日本獣医輸血研究会」所属。

 

漠然とした不安に対応する「何でも屋」

相模原どうぶつ医療センター(以下、当センター)の総合診療科内科について一言で説明するなら“動物の病気の何でも屋さん”というのがよいかもしれません。受診されるのは「なんとなく元気がない」「食欲はあるけど、最近よく吐くので不安」など、ワンちゃんやネコちゃんの、理由の分かりにくい不調に悩む飼い主さまが多いですね。

また、他院から「健康診断で異常な数値が出たから、詳しく調べてほしい」「疑われる病気に対して一般的な治療を施しても治らないので、再検査や治療をしてほしい」という依頼を受けることもあります。

人間の病院の総合診療科は、問診や検査後に専門科を紹介するケースが多いのですが、当センターでは診断から治療まで一貫して当科で担当することも珍しくありません。

もちろん、元気のない原因が整形疾患であれば運動器科、検査の過程で目に異常が見つかれば眼科をすすめたりもします。「再度、専門科での診察を行うべきなのか、このまま治療に入るべきなのか」を正しく判断するのが我々の重要な仕事の一つですね。

 

丁寧な対話で納得できる検査・治療を

診察の流れを具体的に説明すると、まずは問診を行います。科の性質上、主訴がはっきりしないまま来院される飼い主さまもいるのですが、不安や悩みをきちんと確認するように心がけています。

「飼い主さまの認識している症状」「我々が感じた異常」、さらに他院からの紹介の場合は「かかりつけの先生の所見や過去の診断結果」などを考え合わせながら、疑われる病気を絞ったり、検査方法を決めたりします。

一番大切なのは、飼い主さまの困りごとを解決し、結果に満足してもらうことですから、こちらが一方的に話を進めることはありません。

問診の次は身体検査。レントゲン撮影や超音波検査、血液検査など、必要と思われる検査を行います。ただ、検査の結果、「異常なし」ということもよくあるんです。その場合、「緊急性の高い所見はない」と判断して特別な治療はしないで様子を見ていただくうちに、自然と治ってしまうことも少なくありません。私たち人間も「ものすごくお腹が痛かったけど、知らないうちに治っていた」なんてことがありますが、それと同じですね。何かは起きているんでしょうけれど、それが「進行性の病気なのかどうか」「治療が必要かどうか」を判断することが重要です。

例えば「脂肪のような柔らかさのできものがあったので調べてみたら、実は『血管肉腫』というガンだった」ということもありました。そういったケースを見落とさないよう、慎重に検査を進めます。

検査の結果、当科で治療すべきとなれば、引き続き治療を行います。ここでもやはり、「こういう検査結果が出たのですが、薬と手術のどちらで治療しましょうか?」といったように、飼い主さまと相談しながら治療方針を決定しています。

また、問診や検査、治療の中でMRIや放射線治療装置など当センターにない設備が必要となれば、他院をご紹介して橋渡しすることもあります。総合診療科として状況に応じた適切な医療を提供するよう努めているので、何か不安に思ったらぜひ、気軽にご相談いただきたいですね。

 

体への負担を軽減できる腹腔鏡手術

当センター全体の方針として、いま腹腔鏡を用いた手術に力を入れていきたいと考えています。通常の開腹手術に比べて傷口が小さくて痛みも少ない上に、回復も早いとされています。

腹腔鏡手術で使用する器械について説明する瀬川獣医師

また、開腹により腹腔内臓器が長時間にわたって空気にさらされると、術後の消化管運動能の低下など、手術合併症のリスクが高まることが分かっています。そういう意味でも、腹腔鏡手術が当たり前に行われるような環境をつくっていきたいですね。

特に避妊手術のような待機的な手術は、上述したようなリスクを抑えられるという点で、腹腔鏡手術の方がおすすめです。今後、技術を一層磨いていくことで、「腹腔鏡手術なら相模原どうぶつ医療センターだ」といわれるようにしたいと思っています。

 

日々の記録で状態の客観的な把握を

病気は放置すると重篤化することも多いので、気になることがあれば、早めに受診されることをおすすめします。しかし、骨折や目の病気などと違い、内科疾患の多くはパッと見では異変が分かりにくい。そこで飼い主さまに推奨しているのは「何かおかしいなと思ったら、客観的判断ができるような記録をつける」ということです。

例えば「日ごとの吐いた回数や下痢の頻度」「体重の推移」などは、家庭でも比較的簡単に調べられるでしょう。数字で把握することにより、背景で進行していくような慢性的な体調の変化に気付きやすくなりますし、獣医師にお伝えいただくと、検査・治療の方針が定めやすくなります。

また、貧血などの血液疾患に関しては「舌が真っ青(真っ白)になる」「あざができやすくなる」など、見た目に分かる症状が表れることもあるので、ワンちゃんやネコちゃんの身体状況を定期的にチェックしてあげてください。

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