相模原どうぶつ医療センターBlog

相模原どうぶつ医療センター診療科紹介【眼科編】「目の病気は専門医に」

一般内科・外科をはじめとする12の診療科を備えている「相模原どうぶつ医療センター」。各科の特徴やこだわりについてご紹介するこのシリーズ企画、今回は眼科を担当する寺門邦彦が語ります。

寺門邦彦(獣医学博士)

比較眼科学会所属。麻布大学附属動物病院全科研修医、日本獣医生命科学大学大学院獣医外科学教室(眼科)、麻布大学附属動物病院特任助手眼科担当を経て、2018年より現職。

分かりやすい説明により治療プランやリスクを明確に

相模原どうぶつ医療センター(以下、当センター)の眼科の大きな特長は、幅広い症例に対応できること。マルチスライスCTや血液化学分析装置といった最新機器がそろっているので、ワンちゃんたちの容態をくまなく検査できます。

「ちょっと涙が出る」「目やにが気になる」といった比較的軽い症状から、近隣の動物病院の先生からのご紹介で「治療を施したが症状が改善しない」といった緊急性の高いものまで、あらゆる悩みを持った飼い主様が来院されます。

目の専門科として次の2つのことにこだわっています。1つ目は「分かりやすく伝える」こと。飼い主様と一緒に治療プランを考えていくにあたり、病名・病態を正確にお伝えすることは欠かせません。学術用語の使用を避け、どなたでも現状が把握できるように説明しています。

加えて心がけているのが、できるだけ詳しく話すということです。「痛みは伴っているのか」「どれくらいの大きさのものなら識別できるのか」、視覚が極端に低下している場合に「光は感じられているのか」など、各種検査を行いながらできる限り詳細に診断し、飼い主様と情報を共有します。

2つ目は「“この先どうなるのか”まで伝える」こと。完治の可能性や合併症のリスクなどをはっきりさせることで、飼い主様の「本当にこの治療で合っているのかな」という不安が和らぎ、より強い信頼関係が築けるんです。ですので、「とりあえず薬で様子を見ましょう」といった診察は絶対にしません。もし薬を処方するのなら「このくらいの期間でここまで改善するでしょう」といったように、将来のビジョンをちゃんと伝えています。

先のことを語る上で欠かせないのがデータやエビデンス。ある病気に関して「どんな合併症が、どのくらいの確率で起こるのか」といったことを論文や統計を基に説明します。こうした資料と経験則を掛け合わせて診断や治療ができるのは専門医の強みの1つではないでしょうか。

もちろん1回の診察ですべてが分かるとは限りません。診断がつかない場合には薬を使って治療反応を見ることもありますが、その時は「診断がつかないこと」「反応を見ながら2回目以降の診察で診断をつけること」をきちんと飼い主様にお伝えしています。

24時間対応のチーム医療で迅速かつ確かな治療を追求

当センターは外来の受け入れや動物たちの健康管理を24時間体制で行っており、眼科はその恩恵が大きい科の1つです。治療の例を挙げると、病気によっては1時間おきに点眼が必要な場合もあるのですが、それをご家庭で実施するのは難しいでしょう。そこで当センターでお預かりして、昼夜問わず点眼治療を行うんです。

もちろん一人の獣医師だけで週7日、24時間治療に当たることは不可能なので、他の獣医師や動物看護師、スタッフと協力し合い、チームで取り組んでいます。現在はチーム全体の底上げを行うべく、研修制度を強化しているところです。

目の病気はほんの数日、数時間様子を見るだけで手遅れになってしまうこともあるので、いつでも誰でも早く正確な診断や治療を行える医療機関でありたいですね。

まぶたや目の表面、眼内まで多岐にわたる手術実績

薬による治療だけでは完治が望めない場合、当センターで手術も行います。まぶたや目の表面だけではなく、処置が難しいといわれている眼内の手術まで対応可能です。数ある困難な手術の中でも特に、見えない目を見えるようにする白内障の手術では確かな技術が要求されます。

これまでおよそ15症例の白内障手術を行っていますが(2019年4月現在)、すべてにおいて合併症の発症もなく、見える状態を維持しているんです。これには24時間体制が大きく貢献しています。目の病気は手術ともに術後のケアがとても重要なんです。当センターでは何かあったときにも素早く対応できる環境が整っているので、手術における合併症の発症率が低いのだと思います。

目の病気の診断・治療プラン作成・手術など、どのシーンにおいても眼科専門医のできることはたくさんあります。飼い主様の安心のためにも、当センターが地域の獣医師のコミュニケーションの拠点となり、診療相談やディスカッションなどを積極的に行っていきたいですね。

視力が低下する前にこんな時はすぐに受診を

目の病気を放置すると、最悪の場合は失明にまでつながってしまいます。ワンちゃんの目に異常が見られたらすぐに受診してください。目は外から見える器官である上に、左右で比較ができるので、異変に気付きやすいと思います。「充血していないか」「涙の出方に差はないか」など、しっかり見比べてあげるのが家庭でのチェックポイントです。

また、「目が開かない」「執拗に目をこする」といった仕草が見られる場合、痛みのサインであると考えられます。痛みが伴うときには病気が隠れているケースが多いので、早めに医療機関へ相談されることをおすすめします。

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