相模原どうぶつ医療センターBlog

どうする!?愛犬の「吠え」の悩み プロトレーナーが教える「しつけ教室」

「吠え」は愛犬家が抱えがちな悩みの一つです。人々が寝静まった夜中やお出かけの際などに困った人も多いはず。そもそもワンちゃんはなぜ吠えるのか、そしてどうすればやめてくれるのか…。
相模原どうぶつ医療センター
でしつけを担当する米田和輝が「吠えにくい犬」を育てるコツについてご紹介します。

米田和輝

相模原どうぶつ医療センター しつけ担当

北海道出身。2002年国際ペットカルチャー総合学院卒業。専門学校講師、嘱託警察犬指導手を経て、14年より現職。現在はラブラドール・レトリバー(3代目)の育児に奮闘中。

《保有資格》

日本ドッグトレーナー協会A級ライセンス/ジャパンケネルクラブ公認訓練士/愛玩動物飼養管理士/RPTM Japan Bronze Basic Level Trainee

「警戒吠え」対策のカギはあらゆるものへの“慣れ”

「吠え」というのは「警戒吠え」と「要求吠え」の2つに大別されます。

知らない人やモノを怪しんで吠えてしまうのが警戒吠えです。例えば、お散歩中や動物病院にいるとき、大きな物音がしたときなど、生活のいたる場面で見られる行動ですね。

そもそも犬には「身の危険を感じたら吠える」という習性が備わっていますので、警戒吠え自体は自然なことなんです。ですから、これをやめさせるためには、小さい頃からしっかりとしたトレーニングを行う必要があります。

生後3週から12週くらいまでを指して「社会化期」と呼んでいるのですが、この期間に人や車、他の犬、音などあらゆるものに慣れさせてあげることが、警戒吠えしにくい犬を育てるポイントです。

性格や年齢、生育歴など個性に応じた対応が重要

人に慣れさせるには老若男女、様々な方とふれ合わせるとよいでしょう。その際には毎回おやつをあげるなど、ワンちゃんが喜ぶことをしてあげると一層効果的です。

もちろん、中には極端に怖がりのワンちゃんもいますから、人嫌いにならない「適度なスキンシップ」を心がけるようにしてください。

子犬の段階で引き取った場合、母親や兄弟犬から引き離されるのが早過ぎたことで、他の犬を怖がるようになるケースも少なくありません。そうしたワンちゃんは、社会化期の間にパピーパーティーなどに参加させてあげるとよいでしょう。

社会化期とワクチン接種の時期が重なる場合も少なくありません。ワクチンが終わっていない間は基本的に外へ出せませんから、飼い主さまが抱っこをして、窓などから人や犬、外の風景を見せてあげてください。それだけでも、十分効果があると思います。

すでに社会化期を過ぎてしまったワンちゃんの警戒吠えに困っている方は、「警戒の対象物から距離を取らせること」を心がけてください。成犬になってから新しいものを受け入れるのは難しいので、無理に慣れさせるよりも、関わらないようにさせる方がいいでしょう。

例えば、他の犬を怖がる子なら、街ですれ違う際には飼い主さまが間に入ってあげて、無事に通り過ぎたらおやつをあげる。これによって同様のシチュエーションへの恐怖心が和らぎ、警戒吠えの抑制につながります。

他の犬を怖がる場合はすれ違う際に間に入ってあげる

ただ、一緒に暮らしていく上で、飼い主さまはもちろん、それ以外の人との関わりも欠かせませんから、人には慣れさせた方がいいかもしれません。

「知らない人に会うたびにおやつをあげる」「まずは子どもや小柄な女性と遊ばせる」など、できるだけワンちゃんの負担を軽減するかたちで交流を図ってみてはいかがでしょうか。

「要求吠え」をする子に安易に従うのはNG

「構ってほしい」「ケージから出してほしい」「おやつがほしい」など、飼い主さまに何か訴えるために吠えるのが「要求吠え」です。

これをやめさせるコツは「要求に従わないこと」。ワンちゃんたちは「吠えたら何かしてもらえる」と記憶してしまうと、要求吠えの激しい子に育ってしまいます。

大人しくしているときにこそ構ってあげて、「黙っていれば、いいことがある」と覚えさせてください。こちらも警戒吠えと同じように、小さい頃からトレーニングを行う必要があるでしょう。

注意したいのは保護犬など、以前誰かと一緒に暮らしていたワンちゃんを引き取る場合です。こうした犬は「また飼い主さまがいなくなってしまうのではないか」という不安から、要求吠えが増える傾向にあります。それをずっと無視するのはなかなか難しいと思うので、吠えるたびにいうことを聞いて、吠える時間をできるだけ短くするというのもいいかもしれません。

また、おやつを食べている間は吠えずにいられるのなら、おやつを入れられるおもちゃなどを使って、夢中になれる時間をつくってあげるのも効果的だと思います。

要求吠え対策としておもちゃの活用も

「吠え」への適切な対処で人も犬も幸せな毎日を

警戒吠えにも要求吠えにも共通して言えるのは「吠えている犬は、常にストレスを抱えている」ということです。問題行動への適切な対処法はワンちゃんの年齢によって変わりますが、「社会化をしっかりする」「要求に応えすぎない」という2点は常に意識してください。

当センターでは対応していませんが、中には数か月に渡り、泊まりがけでしつけを行なってくれるような施設もあります。どうしても困っている場合は、そういったプロの手を借りるのも手段の一つでしょう。

正しいしつけを行うことでワンちゃんも飼い主さまも気持ちよく生活できるようになりますし、そういった環境をつくることが犬を飼うということです。皆さまがワンちゃんと一緒に楽しい日々を過ごせることを願っています。

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